やまね工房 落合けいこ のブログです。

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やまね工房通信

1987年10月10日から1995年3月10日までのやまね工房通信です。

やまね工房 網走店


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2006年5月1日

ヤママユ


 前回に引き続きちょっときもわるの虫くんです。小学生のころ、母方の田舎である新潟の豪雪地方で、そのころまだ養蚕をしていた親戚の家からいとこが「繭」をいくつかもらってきた。
今から思えばきっと「不良品」だったのだろうが、その繭は普通繭よりちょっと大きないわゆる「二つ玉」で、中には2匹のカイコガが蛹を作っていた。その中から2つの繭をもらって帰った私は、母の昔取った杵柄と二人三脚で養蚕のまねごとをしたのだった。 もっとも、翌年にはカイコがもっと増えて、桑の葉を集めるのに確か父の手も借り、出来上がった繭を煮て「真綿」を作る段になると、母が本気で取り組んでいたような気もするが・・・
なんだか2~3年はそうやって自家養蚕をしていた記憶がある。繭を煮て、出てきたさなぎは池の鯉が食べ、おかげで鯉たちはぶくぶくの肥満体だった記憶がある。

 日本ではこのさなぎを人の食用にはしないのだが、なんでも韓国ではこれを甘栗のように炒って露天で売っているそうな。いつかさくらももこさんの書いたもので読んでびっくりしたものだが、たしかに♀の蛹は卵がいっぱいで栄養がありそうだ。私はちょっと食べられそうにないけど。
そう、その当時はたしかにカイコを素手でつかめたし、毎日世話をしているうちにちょっとかわいくも思えたのだった。
カイコの方も長年人に飼われて慣れているのか、さわっても身をよじって嫌がるそぶりなど見せず、おとなしいというかおっとりしたものだった。
でもやっぱり、そんなカイコでもオトナになったら(私が)きもわる。
小さくてもそれなのに、えーっ拡大するの?は前回と同じ。
で結果はこの通り。

 カイコは小学生の時に飼っていた記憶が少しあったのと、ヤママユのあとに作ったのでいくらか楽でした。
素材も乳白色のフェルトがピタリだったし・・・本当は触ったときのひんやり感が出せるともっと良かったのですが、見た目の質感はほぼ当たっていると思います。縮小してみると本物みたいだし。


実際はヤママユと同じく
50センチ程度あるのですが、画像で見るとなんだか大きく見えないですね。

きっと記憶の中に大きさが概念としてあるので、大きく見えにくいのかもしれません。縮小するとけっこうなんでもかわいく見えるのですが、拡大するとバランスが難しくて、まとまらないものが多いです。
今回、苦手な虫で、なおかつ拡大という難題でしたが、おかげさまで虫、拡大の面白さに少し目覚めてしまった感じです。
機会があったらまた作ってもいいかな、なんて。

これは前回のヤママユとともに白川郷自然學校の教材として使われています

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2006年4月1日

ヤママユの幼虫

生き物は何でも好き・・・な私だったのだが、こどもの頃平気で触れた ある種の虫が、オトナになってちょっと苦手になった。直接何か危害を与えられる訳でもないのに、写真でも絵でも、姿を見ただけでだめなのである。


頭では大丈夫、と思っても何か生理的に受け付けないというか・・・
とにかく、こんな日がいつか来たらという恐怖がどこかにあったのだが、とうとうその日はやって来た。しかも特大に拡大したやつを作れというのだ。

「えーっ」一瞬、担当の加藤さんを恨みそうになったが、待てよ、この ぐにゃぐにゃ感はどうやって作ったらいいのかな?どうせなら本物そっくりに 動かしたいよね、と、もう製作の方法を考えているもう一人の自分がいた。プロやなあ。って自分で言ってもね。

それからの格闘の日々、毎日少しずつ手触りや曲がりを確認しつつほとんど 手作業で仕上げるうち、苦手なはずのこの物体がなにかかわいく思えてきて、 とうとう最後には手放すのが惜しいほどに・・・?はならなかったが、 抱き心地がよくてついつい触ってしまうようになったことは確か。
実物より緑色の部分が少し濃くなりすぎてしまったのは残念だが、質感はなかな かよく出たと思う。カイコも一緒に作り、こちらも「気持ち悪ーいけどかわいーい」感じで良く出来 たと思う。これは次回に。

とにかく、拡大したいもむしはこうして形になったのでした。
これはクヌギやコナラの葉を食べる大型の蛾、ヤママユの幼虫です。
大きさは約50センチ。



実物は7センチぐらいの幼虫で、成虫は羽を広げると10センチ以上 になる大型の蛾です。
モスラみたいだねえ、言いながら作りました。作る前に資料をいろいろ調べるうちは、なんだかびくびくものだったのですが (それを見るのが恐ろしくて)その資料を身の回りにずっと置いていたら そのうち慣れたみたいです。



ぷにぷに感と、自在に曲がるしなやかさ、体表の一種の光沢を出すのに 体の節を一つずつ手作業でつなげたり、芯に「あるもの」を入れたり、表面に オーガンジーをかぶせたりと、けっこう苦労しました。たくさん手をかけたので、しまいに愛着がわいてしまったのですね、きっと。いい経験でした。

苦手もひとつ克服(実物はだめかも)出来たし。そうそう、これを作っている最中のことでした。炭焼きの準備をしていたスタッフの木村さんが、大風でうら山から落ちてきた 枯れ葉といっしょに、それに張り付いていた「繭」を見つけました。それは、まぎれもなく「山繭」ヤママユの蛹が羽化したあとの繭だったのです。


ここに何年も住んでいますが、庭でヤママユの繭をひろったのは始めてです。
以前、炭焼きの見習いに行った、地元の農家のおばさんが、かつてこの繭を 集めて帯を作った話を聞いたことがあるのですが、今はもうすっかり見かけなく なったとおっしゃっていました。

このヤママユも、かつての里山ではメンバーの一員として普通に暮らして いたのですね。
今ではクヌギやコナラの林は荒れ、山繭の糸は大変貴重なものになってしまい ました。

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