●1988.6.15 やまね工房通信 No.7
 いよいよ梅雨入り。
 蒸し暑さに早くも音をあげている人もいるのではないでしょうか?

 ところで、この雨には山がとても重要な役割を果たしているんだ、と言ったらあなたはびっくりしますか?
 生活に欠かすことのできない水は、元をたどれば雨です。
 さて、それでは山の役割はなんでしょう?
 山といっても、樹木がなくては役目を果たすことはできません。まず、雨は木々の葉に降り注ぎます。枝や幹をつたわって、ゆっくりと地面にたどりつき、染みこんでいきます。木が地中深く根を張っているので、雨が土を流してしまうこともありません。
 樹木の茂った山は、ちょうどスポンジのように、水を蓄えることができるのです。
 もし、丸坊主の山に雨が降ったならば、雨は直接地面を叩き、土を削り取って、川へ押し寄せ、あっというまに流れ去ってしまうことでしょう。

 毎年、夏になると水不足が問題になります。水の無駄使いをやめるのは言うまでもありませんが、天然のダムと言われる森林の役割にも目を向けてみませんか?

●紫陽花(あじさい)

 梅雨時にわたしたちの目を楽しませてくるのが、あじさいの花です。
 花といっても、わたしたちが花だと思って見ているのは、実はガクなのです。このような花を装飾花といいます。
 ポチョポチョと小さな実がのようなものがたくさん付いていますが、あれが本当の花です。

 なぜ、こんな偽物の花をつけているのでしょうか?
 それは、わたしたちが美しいと心惹かれるように、虫たちにも魅力的にみえるように装っているらしいのです。
 花が地味で目立たないので、ここには素敵な花が咲いていますよ、と知らせているかのようです。
 あじさいは紫陽花と書くように紫の花を咲かせます。花の色は、黄緑から青、紫へと変っていきます。
 どころが同じ紫でも青みがかった紫と赤みがかった紫というように、色が微妙に違うところがあります。これは生えている地面の土の酸性度の違いによるものです。土が酸性のときは青色が強く、アルカリのときは赤色が強くなります。
 あじさいは野生のガクアジサイを品種改良したものです。

 この季節、あじさい寺として有名な鎌倉の明月院には大勢の人が訪れることでしょう。




※文中のデータなどは、発行当時のものです。

絵・文 片山文恵・落合けいこ
編集 片山文恵