●1989.01.01 やまね工房通信 No.13
  新しい年を迎え、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 気持ちも新たに念頭の誓いをたてた方もいらっしゃることでしょう。
 すでに手帳にスケジュールがびっしりと書き込まれているという方もいらっしゃるようですね。

 今年は、もう少し野外に出かける機会をつくってみたいなあ、と思っています。
 春・夏・秋・冬と四季折々の楽しみを逃がさないよう、季節のうつろいをキャッチするアンテナを研ぎ澄ましていたいものです。

 冬の寒さはこれからが本番です。寒さに負けずに、元気にお過ごしください。
 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

●雪の林で耳を澄ませば

 雪深い志賀高原の朝。
 「おこじょ」の研究されている方のフィールドにちょっとお邪魔させていただきました。
 
 雪の上には、その朝そこを通った生きものたちの大乗さまざまな足跡が走っています。
 一直線に続いているのはキツネの足跡です。小さな二つの足跡と大きな二つの足跡は、ウサギです。とても小さいのはリスのものでしょうか。
 立ち止まった跡。急に方向を変えたのは、何かに驚いたのでしょう。日頃、目にすることのできない彼らのくらしの一場面が、雪の上に残されています。
 
 林に足を踏み入れると鳥たちが迎えてくれました。コガラ、ゴジュウカラ、ヒガラ、シジュウカラ、双眼鏡がなくてもはっきりと模様がわかる程近くまで寄ってきます。
 カケスはあの素敵なブルーの羽をみせびらかすように、何度も目の前を横切っていきました。
 リスは見かけないよそ者の私たちのまわりをぐるりと一回り。

 林の中にしばらくじっと腰を下ろし待ちましたが、おこじょは姿を見せてくれませんでした。
 でも、雪の林の中で静かに耳を澄ませていると彼らの息遣いが聞こえてくるようでした。



絵・文 片山文恵・落合けいこ
編集 片山文恵
 冬。葉を落とした樹木が枝振りを誇示するかのよう。
 静まり返った森で、生きものたちはどうしているのだろう。
 土の中や落ち葉の陰には虫たちが息をひそめて、春の訪れを待っている。それぞれの卵、幼虫、さなぎ、成虫と工夫を凝らした形で、越冬している。

 渡りをする鳥たちは、メンバーが入れ替わっている。葉が落ちて見通しがきくこの時期は観察にはもってこいの季節だ。
 私たちが気づかないだけで、冬の森も生きている。


※文中のデータなどは、発行当時のものです。