●1989.08.20 やまね工房通信 No.20
 残暑お見舞い申し上げます。
 みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
 夏の暑さも峠を越して、山では早くも涼しい風が吹き始める頃。
 もう秋がそこまで来ています。夏の思い出に思いをはせ、去り行く季節になごりを惜しむ。
 そんなロマンチックな感傷にひたる一方では、厳しい暑さからようやく逃れられるというのでほっと一息というのが正直なところ。
 季節のかわりめです。健康にはくれぐれもご注意ください。

 子供のころの夏休み、虫捕りに夢中になったことはありませんでしたか?
 朝早くに、近所の雑木林にいって、カナブン、クワガタ、カブトムシなど必死になって探したものです。前の日に、お目当てのくぬぎの木に、たっぷりと砂糖水を塗りつけておいたのはもちろんのことです。
 補虫網を振りまわして、蝶やセミを追っかけたりもしましたが、そうそう簡単に捕まえられるものではありませんでした。

 それでも、何度も失敗しているうちに、例えばセミはいつも下にむかって逃げるので網を上からかぶせるのではなく下から近づけると採りやすい、といった具合に小さな発見もありました。
 そして、なによりもその虫が何を食べて、どんなところにすんでいるのかを知ることが虫捕りの成否を握るカギなのです。
 ですから、虫のことなら何でも知っているという子は、虫博士といったあだ名とともに、みなの尊敬を集めていたものです。
 デパートの屋上でカブトムシが売られはじめたのはいつ頃からでしょうか。
 虫たちでさえも、お金と引き換えに手にいれられるものになってしまったのですね。
 とはいえ、この夏も、セミの声が樹上から降り注ぎ、青空を舞い飛ぶトンボの姿が見られました。
 虫たちのいない夏、なんてSF小説のようなことのないように、と思ったりしています。

●日本の野生シリーズ 西表やまねこ

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絵・文 片山文恵・落合けいこ
編集 片山文恵