●1990.02.28 やまね工房通信 No.25
 水ぬるむ春、吹くかぜもこころなしか暖かく感じられます。
 かたいつぼみをつけていた木々も少しずつほころんで、春のおとずれを告げているようです。
 わたり鳥たちは再び迎える移動の季節に、その顔ぶれが入れ替わりはじめます。

 季節の変わりめは、なんとなく落ち着かない気分になります。ゆく季節を惜しみ、迎える季節に期待をいだくからでしょうか。
 空気までが春のにおいを運んでくるようです。

●知らなかったではすまされない!

 先日、有機栽培をされている農家の方と話す機会を得た。千葉県で野菜や落花生、スイカなどを作っているとかで、日頃、聞くことのできない話しがおもしろく、まるで子どものような私のたわいない質問にも根気よく答えてくれた。
 一番たいへんなのは、堆肥づくり。ワラを集めたり、乗馬クラブから馬糞をもらってきたりといったことを通常の畑仕事のあいまにこなさなければならない。このため、いきおい夜中にトラックを走らせたりすることになるのでたいへんだ。
 けれども、話の中で一番驚いたのは、農薬のことだった。農薬の恐ろしさは知っていたつもりだったのに、あらためて、生産者から直接聞くと、ほんとうに怖い。

 例えば、大根は大量の農薬を使っているという。種をまく前、葉が出てからと顆粒状、固形状いろいろな薬をまくのだそうだ。それというのも、ちょっと虫がなめただけで売れないから。てまひまかけて、高価で危険なものを私たちは、食べさせられているのだ。でも、それも結局は、ドロのついていない、曲がったり歪んだりしていないもの(中身ではなく見た目)を選んで買う私たちが望んだ結果。

 同じような農薬問題が、いまゴルフ場について取り沙汰されている。日本全国、いまやゴルフ場建設ラッシュ。あの緑の芝生を維持するためには、大量の農薬を必要とする。雨がふれば、地中から染みだした薬が、河川を汚し、近隣の土地を汚染する。上水道の取水口の近くにあれば、飲み水に農薬が混ざることも考えられる。
 八百屋の店頭にならんだキレイな野菜も、一見キレイなゴルフ場の芝生も、そのかげで使われている農薬の危険性を見過ごしにしてはいられない。
 知らなかったではすまされない。

●日本の野生シリーズ いいずな

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●工房ニュース

 寒くて思わずちぢこまってしまう日と交互にやってくるぽかぽか陽気。
 気がついたらテーブルの上をてんとう虫が歩いていました。
 春とまちがえたのかな。

 水分をたっぷり含んだ雪が消えたあと気の早い春の妖精たちは、日に日につぼみをふくらませています。

 まだまだ寒い日もあるけれど、もうすぐ春です。

絵・文 片山文恵・落合けいこ
編集 片山文恵