●1990.12.10 やまね工房通信 No.32
 北のくにでは、もう雪が降っているというのに、関東地方はポカポカと小春日和が続いています。でも、さすがに夜の冷え込みは「ああ、もうすぐ冬だなあ」と感じさせてくれるのです。はあーっと息をはいて、その秋初めて白くなるのを発見したときの、なんだかワクワクするようなうれしさ。そんなことって、ありませんか?毎年毎年くりかえされることなのに、季節の変わり目は、私たちをとても新鮮な気持ちにしてくれます。

 急ぎ足で歩きながら、アスファルトばかりを見つめている毎日。でもその目をちょっと上にあげてみると、街路樹の葉や空の色が、冬の訪れをささやいています。
 今回は今年最後の通信になります。皆さん、良いお年をお過ごしください。そして来年もよろしくお願いいたします。


●環境モンダイって何?

 いま、環境問題が「ブーム」だそうです。でも「地球温暖化」「オゾン層の破壊」「熱帯林が消滅する!」・・・なんて聞かされても、その現場を自分の目で確認することは、ほとんど不可能。なんだか実感がない、心配ではいるけれど、どうしていいかわからないという人が多いのではないでしょうか。

 「環境問題」は、とてつもなく大きな問題。でも本当は、みんな私たち1人ひとりの暮らしが引き起こしているものです。たとえば川の汚れの原因の70%は、家庭から出る排水だといわれています(ちょっと意外ですか?)。
 遠い国の不幸なできごとのように思える熱帯林の破壊にしても、その切った丸太を世界でいちばん多く輸入しているのが日本。ベニヤの家具、紙、建築材など、皆さんの身の回りにも、特に意識せずに使っている熱帯の木の製品が、たくさんあふれているはずです。

 最近こんな木が発行されました。『地球と生きる55の方法』(ほんの木)。環境を守るため、暮らしのなかで私たちが簡単にできる方法が、具体的に書かれています。なにか始めてみたいという人に、とても役立つ本だと思います。環境を守る努力をすることは、生活がほんの少し不便になること。でも自分で決めて新しく始めることって、なんだか楽しいものじやありません?環境問題は私たちの生活がある限り、くっついてくる問題です。皆さんもさっそく今日から、なにか始めてみませんか? (下郷さとみ)        

●お世話になりました!

「やまね工房通信」も足掛け4年、今号で第32号となりました。毎号、日本の野生生物を紹介してきました。ユニークで不思議な<おとなりさん>たちが、まだまだたくさん出番を待っています。
 今号より締集担当者が変わります。
 みなさん、ありがとうごぎいました。また、お目にかかれるのを楽しみに。
(片山文恵)

※この号から編集担当者が片山文恵さんから下郷さとみさんに変わりました。

●日本の野生シリーズ はくちょう

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●工房ニュース

 秋の1日、大きなブナの木に会いに行きました。樹齢700年といわれるその木は、日本のブナの中でも最も大きいものだそうです。箱根山系の思ったより楽に行けるところに、それは静かに立っていました。他の大きな木が次々と伐られたなか、地元の人たちは森林の大切さを考え、伐ることを禁じてきたのでした。
 我々には想像もできないほどの時を重ねてきた木は、ただ静かに立っていました。木の前に立つとき、なにかしらの圧迫感と、気持ちのいい緊張感と、それから妙な安心感とがありました。なにか特別な理由があって、この木はこんなに長生きをしている、そんなふうに思えます。
 長生きすることの苦悩と、さりげなさを合わせもつ、まぎれもない生をそこに見たような気がした1日でした。

絵・文 下郷さとみ・片山文恵・落合けいこ
編集 下郷さとみ