●1994.07.10 やまね工房通信 No.50
 今年も北海道地方を除いて、梅雨の季節がやって来ました。どんよりとした空が続くと、お日様が恋しくなりますが、この時期に雨が降らないと、自然の動植物の生態系に大きな影響を及ぼします。
 色とりどりの紫陽花には、やっぱり雨が似合います。でも北海道のさわやかな青空がうらやましいですね!

 さて、やまね工房通信は1月に発信して以来、6ヶ月も御無沙汰してしまいました。これからは少し気合を入れて、順次発行しますので、お楽しみに!!

●お知らせ

 やまね工房通信は、今号より高橋るりさんが編集を担当することになりました。
 「身近な自然の中で発見した事や、感じた事を素直に表現できれば・・・・」と思っています。
 

日本の野生シリーズ カラス
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れんさい 第10回

●ある春の日に
 10年以上も前のこと。オホーツク海に面した小さな湖のほとりですごした、春の日々・・・・。

絵と文・落合けいこ
 そういえば、この間、外れの方でふき (茎→本当は葉柄→の方)が沢山探れる「らくよう」の林から、牧冊用の「くい」を切り出した。慣れた人が「チェーンソー」でギュイーンと切ると、あっという間に「くい」が山程とれる。

 私にはとても切る事は出来ないから、切られた端から一カ所にまとめる為に運んだ。運びながら、林床につぽみを付けた「ペイバナイチヤクソウ」の一むらを見つけた。辺りを探すと、心臓の様な形の葉をした「ジンヨウイチヤク」も、普通(ただの)の「イチヤクソウ」もある。これはその名(一葉草)の通り薬草である。そして、綺麗な薄紫の花を沢山付けた「ヒカゲスミレ」の群落も見つかった。野良仕事の楽しさはこんな所にもある。

 ここも、そして馬の墓があるあのすずらんの斜面も、もうすぐ「きんペい」されて畑になる。

・・・・つづく

●工房ニュース 

  5月も未のある日の事・・・・。

 隣のおじさんが皮手袋をした手に、小さな生きものを持って工房の外に立っていました。窓ガラス越しの私の日に映ったチピスケを見て思わず「タヌキ!」とさけんだ私の声に、「へえ〜これタヌキなの〜。何だかさっきから鳴いててね・・・・。うるさくって」と隣のおじさん。生後約2週間と思われるチビスケはおじさんの手の中で開いたばかりの目をバチクリしていたのでした。

 「どうしよう?」と言うおじさんの、一言葉に「かわいいナ、飼ってみたいね・・・・」という思いが頭をかすめたものの、「これは野生動物、子ぽんのうのお父さんタヌキが必死に探しているに違いない」(タヌキのお父さんは大変子ぼんのうです)と自分に言いきかせ、「できるだけさわらないようにして、暗い所に置いたらどうでしょう。きっと夜になったら親が連れて行きますよ」とあいなった。
 その後「声が聞こえないから、連れてったんじやないの」との情報もあり、タヌキの親子が無事再会したであろう事を祈りました。

 それにしても落っことしたのかなあ?こんな場合、(その動物が健康で、ただの迷い子と思われた場合)野生動物にはなるべく触れないのが一番良いようです。彼らにとっては、仲間と合流できる事がベストで、その為にも人間の臭いを極力付けない事がポイントです。今回は、皮の手袋をしていたのが良い結果に結び付いたのではないかと思われます。


絵・文 高橋るり 落合けいこ
編集 高橋るり